2024年2月4日



「十字架と羊飼い」


新約聖書:ヨハネの福音書17章全



13章から続いてきた「最後の晩餐」の箇所は、17章のイエス様のお祈りで終わります。17章は「大祭司の祈り」と言われています。イエス様が神様に、この世での宣教を託す弟子たちのために祈る、非常に厳粛な場面です。

(イエス様の祈り)

イエス様は、イエス様ご自身のため。弟子のため、イエス様を信じるすべての人のために祈りました。先ず、イエス様ご自身のため、「子があなたの栄光を現すために、子の栄光を現してください」と祈ります。子の栄光とは十字架のことです。十字架は、御父がイエス様にお与えになった、すべての人を救うための贖いのみわざです。イエス様は、ご自分と父なる神様の栄光が現されるようにと祈られました。

またイエス様は弟子たちのために三つのことを祈ります。(6節から19節)

1つは、父なる神様の御名によって弟子たちをお守りください(保ってください)という祈りです(11節、12節)。御父と御子のものとされた新しい神の民である弟子たちを、つまずかないように守って下さいということです。(ユダ24)

2つ目は、弟子たちを悪い者からお守りくださいという祈りです。(15節) 迫害から守ってくださいということです。

3つ目は弟子たちを真理によって聖別してくださいという祈りです。(17節)19節にあるように、イエス様は、信徒たちのためにご自分を聖別されます。私たち人間の罪を贖うためにご自身を神様に捧げられました。(ヘブル人への手紙9: 28、10: 10)

最後に、弟子たちのことばによってイエス様を救い主と信じる人々のため、三つのことをお祈りします。(20節から26節) 一つ目は、すべての人を一つにしてくださいという祈りです(21節)。それはこの世が、神様がイエス様を遣わされたことを信じるようになるためです。私たちが一つになるために、イエス様は私たちにイエス様の栄光を与えて下さいます。また私たちが神様から愛されていることをこの世が知るために、「わたしは彼らのうちにいて、あなたはわたしのうちにおられる」、と言われました。

二つ目は、すべての信者がイエス様がいるところに、イエス様とともにいるようにしてくださいという祈りです。(24節) すべての信徒がイエス様の栄光を見るようになるためです。私たち人間は死んだら終わりではありません。このときクリスチャンはイエス様と共に永遠に生きるのです。


(二つのキーワード)

「あなたがわたしを遣わされた」ということばは、この祈りの中に5回出てきます。(3節、8節、18節、21節、25節)私たちは「天の神様」と祈ります。真の神様を本気で信じています。どんなに科学が発達しても、いのちそのものを作ることはできません。どんなに宇宙について様々なことが分かってきたといっても、分からないことの方が遥かに多いのです。私たちが、イエス様が世界の始まる前からおられたこと、神様がイエス様をこの世界に遣わされたことを私たちが信じることができるのは、神様の恵みです。(17:5)

「一つにしてください」ということばは、この祈りの中で4回出てきます。(11節、21節、22節、23節)「一つ」というのは、ギリシャ語で、目的と意図において1つに結ばれることを意味するそうです。ここでは、「御父と御子が目的と意図において一つであるように信徒が一つになるように」ということです。神様は信徒が一つになることを望んでおられます。

(教会が一致するために)

教会が一つになるためにはどうすれば良いでしょう。答えの一つは23節にあります。イエス様が私たちのうちにいて、神様はイエス様のうちにいることを信じ受け入れること。クリスチャンとは、キリストとともに生きる者のことです。

もう一つは、ヨハネの福音書10章にあるように、「良い牧者」であるイエス様に従うこと。クリスチャンとはイエス様の声を聞き分けて従う人たちのことです。教会は、一人ひとりの信徒の中におられるイエス様にあって一致するところなのです。

クリスチャンは、同じ思想や信条で繋がっているのではありません、規則や儀式は大切ですが、それでつながるものでもありません。教会は、会社や町内会や趣味のサークルとは違います。教会の本質は説教と聖礼典です。私たちのうちにイエス様のおられることが明らかとなるとき、世の人たちは、御父が御子を愛されたように、教会を愛されたことを知るのです。

神様がひとり子イエス様をこの世に遣わされ、私たちの罪をあがない、永遠のいのちを与えてくださったことを信じる信仰を新たにさせていただきましょう。また聖書のみことばによる一致を大切にしましょう。説教と聖礼典から恵みを頂きましょう。教会の頭はイエス様です。

21節「父よ。あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたうちにいるように、すべての人を一つにしてください。彼らもわたしたちのうちにいるようにしてください。」


説教者:加藤 正伸 長老



<ヨハネの福音書 17章1〜26節>

1 イエスはこれらのことを話してから、目を天に向けて、言われた。「父よ。時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すために、子の栄光を現してください。

2 それは子が、あなたからいただいたすべての者に、永遠のいのちを与えるため、あなたは、すべての人を支配する権威を子にお与えになったからです。

3 その永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。

4 あなたがわたしに行わせるためにお与えになったわざを、わたしは成し遂げて、地上であなたの栄光を現しました。

5 今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。世界が存在する前に、ごいっしょにいて持っていましたあの栄光で輝かせてください。

6 わたしは、あなたが世から取り出してわたしに下さった人々に、あなたの御名を明らかにしました。彼らはあなたのものであって、あなたは彼らをわたしに下さいました。彼らはあなたのみことばを守りました。

7 いま彼らは、あなたがわたしに下さったものはみな、あなたから出ていることを知っています。

8 それは、あなたがわたしに下さったみことばを、わたしが彼らに与えたからです。彼らはそれを受け入れ、わたしがあなたから出て来たことを確かに知り、また、あなたがわたしを遣わされたことを信じました。

9 わたしは彼らのためにお願いします。世のためにではなく、あなたがわたしに下さった者たちのためにです。なぜなら彼らはあなたのものだからです。

10 わたしのものはみなあなたのもの、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らによって栄光を受けました。

11 わたしはもう世にいなくなります。彼らは世におりますが、わたしはあなたのみもとにまいります。聖なる父。あなたがわたしに下さっているあなたの御名の中に、彼らを保ってください。それはわたしたちと同様に、彼らが一つとなるためです。

12 わたしは彼らといっしょにいたとき、あなたがわたしに下さっている御名の中に彼らを保ち、また守りました。彼らのうちだれも滅びた者はなく、ただ滅びの子が滅びました。それは、聖書が成就するためです。

13 わたしは今みもとにまいります。わたしは彼らの中でわたしの喜びが全うされるために、世にあってこれらのことを話しているのです。

14 わたしは彼らにあなたのみことばを与えました。しかし、世は彼らを憎みました。わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものでないからです。

15 彼らをこの世から取り去ってくださるようにというのではなく、悪い者から守ってくださるようにお願いします。

16 わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものではありません。

17 真理によって彼らを聖め別ってください。あなたのみことばは真理です。

18 あなたがわたしを世に遣わされたように、わたしも彼らを世に遣わしました。

19 わたしは、彼らのため、わたし自身を聖め別ちます。彼ら自身も真理によって聖め別たれるためです。

20 わたしは、ただこの人々のためだけでなく、彼らのことばによってわたしを信じる人々のためにもお願いします。

21 それは、父よ、あなたがわたしにおられ、わたしがあなたにいるように、彼らがみな一つとなるためです。また、彼らもわたしたちにおるようになるためです。そのことによって、あなたがわたしを遣わされたことを、世が信じるためなのです。

22 またわたしは、あなたがわたしに下さった栄光を、彼らに与えました。それは、わたしたちが一つであるように、彼らも一つであるためです。

23 わたしは彼らにおり、あなたはわたしにおられます。それは、彼らが全うされて一つとなるためです。それは、あなたがわたしを遣わされたことと、あなたがわたしを愛されたように彼らをも愛されたこととを、この世が知るためです。

24 父よ。お願いします。あなたがわたしに下さったものをわたしのいる所にわたしといっしょにおらせてください。あなたがわたしを世の始まる前から愛しておられたためにわたしに下さったわたしの栄光を、彼らが見るようになるためです。

25 正しい父よ。この世はあなたを知りません。しかし、わたしはあなたを知っています。また、この人々は、あなたがわたしを遣わされたことを知りました。

26 そして、わたしは彼らにあなたの御名を知らせました。また、これからも知らせます。それは、あなたがわたしを愛してくださったその愛が彼らの中にあり、またわたしが彼らの中にいるためです。」